by gongxifacai 最新の記事
カテゴリ
布 あれこれ 染め いろいろ お茶 さまざま お気に入り 旅のアルバム 個展・展示会情報 来た・見た・買った ワークショップ イベント 2010:麻ツアー 2012素材展Ⅳ・十日町 忘れえぬ人々 2014:イタリア布ツアー 2015ミャンマー蓮布の旅 田中昭夫 ビーズ編み 作ったもの 布の教室 真鶴あたり 猫たち 金継ぎ教室 珠ちゃん 工房からの風 績むの世界 ミドリノベイション 美しい世界の手仕事 季節のご挨拶 タコだけどヒツジ展 見つけたもの いただきました 老化現象 日傘展2008 日傘展2007 stay home 参考資料 ナチュラルワイン 以前の記事
タグ
口福(266)
布(216) 眼福(123) 本(108) 台湾(96) ワークショップ(89) 京都・奈良(77) らふと(64) 蛸の枕(61) 編み物(56) 京都・奈良(49) 青土(46) 庭仕事の楽しみ(46) ポジャギ(43) 竹の家(42) 藍染め(41) 部活(40) お茶(39) ギャラリー啓(39) ご近所(39) kosumi(34) 絞り(30) けろ企画(28) GSS(28) ヒナタノオト(27) 田中昭夫(25) WLF(25) 韓国(23) ティモールテキスタイル(21) Bonami(20) 検索
記事ランキング
|
8月3日(金)は野州麻栽培農家・大森由久さんのお話をうかがいました。 野州(やしゅう)は下野(しもつけ)の別称で現在の栃木県のことです。 栃木県は日本一の大麻の産地で、 栃木の大麻は「野州麻:やしゅうあさ」と呼ばれているブランド品です。 大森さんは現在64歳、大麻栽培の仕事に就いたのは22歳のときです。 実家は代々大麻の栽培農家で、少なくとも1853年には栽培を 始めていたそうです。 それ以前のことはお寺が火災にあって過去帳が焼失してしまったため 確認のしようがありませんが、そのときから数えて7代目にあたります。 ご子息の芳紀さんは8代目として大麻栽培を受け継ぎながら、 野州麻紙(やしゅうまし)漉き作家として活躍されていて、 2005年には「工房からの風」にも出展されていました。 大麻はアサ科の1年草で、雌雄異株の双子葉植物であり、 古くは縄文時代の鳥浜遺跡(約1万年前)から大麻繊維や種子が 発見されています。 大麻の繊維は織物のほかに、畳表の縦糸、魚網や釣り糸、蚊帳、 下駄の鼻緒などに使われていました。 さらに繊維を取った後の苧殻(おがら)は、松明やカイロ灰の原料に使われ、 種子は食用、灯り用の油として、根や葉は薬用として利用されていました。 大森さんのところで栽培している大麻は、栃木県で品種改良された トチギシロです。 これは大麻の向精神作用成分THC(テトラ・ヒドラ・カンナビノール)を極微量にしたもので、 マリファナ目的の盗難防止のために品種改良されたものです。 トチギシロは1982年に種苗登録されている。一般に登録された種苗は、品種の純性を保つために専門機関によって隔離栽培され、種子が栽培者に提供される。トチギシロについても農家が自家採取した種を栽培していない限り、野生種等と交雑しているとは考えにくい。栃木県農業試験場の「とちぎしろ」作出時の研究報告書には、「在来種との交雑を避けるための隔離採種は今後とも必要」と述べられている。 ::::: 【大森家の栽培のようす】 大麻の種は毎年県からトチギシロを買っています。 作付け面積は1町1反(3300坪) 1反に4升(7.2リットル)の種を播きます。 3月に播くと10日で発芽し、梅雨明けには2m50cmになり、 7月中旬に収穫します。 枝を伸ばさせないように密集させて栽培します。 収穫したら枝と葉を刈り落とし一定の長さにしてまとめます。 その日のうちに煮て、害虫を駆除し繊維をとりやすくします。 煮終わったらビニールハウスで乾かして保存します。 3日ほど水につけて発酵させ繊維とオガラに分けます(←麻はぎ)。 繊維の余分な表皮を削り取り(←麻挽き) 乾燥させたものが精麻です。こんなに輝いています。美しいです。 今回、ブログの内容をまとめるにあたって、こちらのサイトを 参考にさせていただきました。ありがとうございました。 ::::: 最近はエコロジー的観点から大麻:ヘンプが見直されて、 いろいろな利用法が考案されています。 そんななかでよく誤解されていることがあると大森さんは語っていました。 【病虫害に強く肥料も不要で、連作が可能】か? ⇒じつは病虫害はあります。 大森さんの大麻は商品作物なので一定の品質が求められます。 従って肥料も必要で、とくにチッソは欠かせなません。 連作も3年が限度で、それ以上は発芽が悪くなるので、 3年ごとに土地を変えて栽培しています。 現在は休耕地が多いので、土地を借りることに問題はなく、 トチギシロを栽培していることは周知の事実なので、 盗難の心配がないため畑を有刺鉄線で囲ったりする必要もありません。 【新たな栽培免許は取れない】のか? 大麻は、大麻取締法によって規制されており、 栽培には都道府県知事による免許許可が必要です。 現在は新たな免許の申請は認可されないと言われていますが、 きちんと申請すれば通ります。 現に今年も1件許可されましいたし、 来年もそれに向けて準備をしている人がいます。 新たに栽培免許を申請するためには、栽培技術や設備の確保だけでなく、 収穫した大麻の使用法まで問われます。 ですからある程度の販路も見つけないと難しいということはあります。 大森さんはそういった志のある人の研修を受け入れて、 免許取得計画の相談にも乗っているそうです。 また戦後のGHQによる大麻取締り法の制定が、 今日の大麻産業の衰退につながったという見方にも 明治時代にはすでに外国から安い大麻繊維が輸入されていたし、 その後、魚網などは丈夫で軽いナイロンに、 服は肌触りのよい木綿に取って代わられてしまったことが 大きな原因と考えられます。 現在は神社の鈴縄、注連縄、弓道の弓弦、和太鼓の皮締め、横綱の化粧回し、 畳の経糸や下駄の鼻緒の芯、花火の助燃剤などに使われていますが、 どれもこれも一般的なものではないので大きな需要は見込めません。 そんな大麻の将来を考えて、今年の6月に 第1回日本麻フェスティバルin栃木というイベントが開催され、 大森さんも大いに活躍されたようです。 私たち「自然布」愛好者にとってはたいへん身近な大麻も 一歩引いて見るとかなり危機的な状況に置かれていることを 改めて思い知りました。 同時に、このような時代に大森さんのような方がいるということは、 大きな希望であり、可能性でもあると思います。 もっと面白いお話もたくさんあったのですが、時間が経ってしまい うまくお伝えすることができずに残念です。 「話の続きはまた聞きに来てよ」という言葉を真に受けて いつか大森さんの畑をお訪ねしてみたいと思っています。 *コメント欄でoyakataが 「わたしは今に至っても麻とヘンプの違いがよく分かりませんが、 今のところ麻はリネンやラミーのことで大麻(ヘンプ)は大麻ですね」 と書いていたのは、品質表示法で 日本で麻の名称で流通させて良い繊維は亜麻と苧麻のみであり、本来の麻(大麻)は指定外繊維となる。 ということからきている疑問ですね。 oyakataは仕事上「品質管理法」に基づいて布の表記しているので、 誤解されたのだということが、調べものをしいてて分かりました。 同じような混乱をしていらっしゃる方がいるかと思い、追記しておきます。
by gongxifacai
| 2012-09-07 23:37
| 2012素材展Ⅳ・十日町
|
Comments(13)
Commented
at 2012-09-08 21:26
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
gongxifacai at 2012-09-09 23:24
鍵コメさま
まだ大丈夫ですよ。 ただ、そういう場合どれくらいの濃度にしたらよいのか、 いつも悩んでしまいます。
0
Commented
by
oyakata
at 2012-09-10 11:05
x
師匠。
わたしは今に至っても麻とヘンプの違いがよく分かりませんが、今のところ麻はリネンやラミーのことで大麻(ヘンプ)は大麻ですね。 風合いも大分違うし大いに興味ありです。 こちらによると植物の種類がちがうようですが、リネンは何だろう?→http://www.hemp-revo.net/hemp55/q8.htm
Commented
by
gongxifacai at 2012-09-10 13:17
oyakata
ざっくり言ってしまえば日本では長く、 木綿と絹以外の布をひっくるめて「麻」と呼んでいました。 その中でも特に身近な麻が苧麻(ラミー)と大麻(ヘンプ)です。 リネンは亜麻科の一年草で、明治時代に種が日本にもたらされて、戦前までは北海道で栽培されていたそうですよ。 今回の素材展に参加されていた長野の日高雅恵さんは、 自分で育てたリネンから糸を紡いで、布を織っています。 http://homepage3.nifty.com/hi-daka/rinen.html
Commented
by
hokui44do05 at 2012-09-11 20:17
網走でもかつて亜麻の栽培して繊維を作っていたようです。
郷土博物館に展示されてました。 最近では40年ぶりに、石狩の当別で亜麻の栽培が復活。 繊維のためにではなく、亜麻仁油を採るためのようです。 サプリメントを販売しているらしい。 亜麻の花はブルーでたくさん咲いていると綺麗なので 亜麻まつりなどして地域おこしに一役かっているようです。 繊維としての復活はまだないようですが。 (道の広報紙に載っていた記事より)
Commented
by
gongxifacai at 2012-09-11 21:46
コリンゴさん
「亜麻情報」ありがとう。 網走でも栽培できたんですね。寒さに強いのね。 フラックスの花はほんとうに可憐だから、 ラベンダーに対抗できるかも:笑 繊維としては中国から買ったほうが安いし、 高級感ではフランスやベルギー産に負けちゃうからね。
Commented
by
Tamami W
at 2012-09-11 22:16
x
ヘンプ=エコロジー素材とばかり思っていたのですが、実はそうでもなかったのですね。勉強になりました。
そして憎むべき(?)はGHQの大麻取締法ですね。繊維にする大麻とマリファナ用大麻は別の種類なので、このGHQの政策は見当違いだとの説をどこかで読んだ事がありますが、もうその頃、大森さんのように品種改良されたものが作られていたのでしょうか??今はもう別品種のものが一般的だとしても、それでもアジアでヘンプを買いこんで、帰りの成田空港で麻薬探知犬がいると、ドキドキしてしまいます。
Commented
by
gongxifacai at 2012-09-12 00:02
Tamamiさん
なにがエコロジーなのか、私にはよく分かりませんが、 商品作物として厳しい品質管理のもとに生産されている 大森さんからすれば、「エコだから」と軽々しく言われるのには いささか抵抗があるのではないでしょうか。 だからと言って、最近の風潮を苦々しく思っているという 頭の固い方ではけしてありません。 私の書き方が悪くて誤解をさせてしまったのかも知れませんが、 大森さんは、繊維としての大麻の衰退は けしてGHQの政策のせいではないとおっしゃっています。 「異議」を「意義」と変換間違いしていたので、 反対の意味に取られてしまったのでしょうか? 「トチギシロ」が開発されたのは1982年です。 そしてトチギシロでない種で栽培している農家の方は、 現在でも盗難防止に有刺鉄線で畑を囲って管理をしていると 聞きました。 どの品種にしても大麻の向精神作用成分は花冠と葉にあって、 茎や繊維にはありませんので、布はどれだけ買っても 麻薬探知犬にドキドキする必要はありません!
Commented
by
Tamami W.
at 2012-09-12 06:19
x
なるほど、トチギシロでない種を栽培している農家もいらっしゃるのですね。(「大麻の種は毎年県からトチギシロを買っています」←どうしてかな?と思って調べたら、花粉が2キロ飛散して種が代返りしてしまう、とありましたので、そのためもあるんですね)。
大麻の衰退はGHQのせいだとずっと思い込んでいたので、読み違いしてしまい失礼しました!
Commented
by
gongxifacai at 2012-09-12 09:31
Tamamiさん
大森さんのお話の中では、種も採っているとお聞きしたので、 その種はどうするのか、今になると疑問もあるのですが、 レクチャーの時には気づかず、聞きそびれました。 私も文字変換間違いに気づかず、そのままになっていたので 勘違いされた方も多かったのではと反省しています。
こんにちは~
おりひめ神社お社の注連縄は、大森淳子さん(お嫁さん)と一緒に大麻で綯ったものなので、今度またみてくださいね~ いつまでもぴかぴかしています。 (鳥居の方は、藁ですが) そして、斉藤洋さんの染めの着物、持ってます! モスリンではなく、手織り綿なのですけれど。 いつかお披露目できますように~
Commented
by
gongxifacai at 2012-09-12 23:57
hinataさん
なんだかとてもお久しぶりですね。 「風」の準備でいちばんお忙しい時期ですか? そうそう、素材展で大森淳子さんにお会いしましたよ。 では、来月おりひめ神社の注連縄を楽しみにして見ます。 斎藤さんの着物ですか!それはぜひお披露目してください。 いっそ「風」でさっそうと着物姿!っていかがでしょうか。
huiziさん、ありがとうございます!
ホンマからお元気なご様子、聞いております!! 来月、 注連縄さま!とともに、お待ちしています。 (撮影ポイント!?) そして、着物姿・・・憧れですが、、 ガテン系で会場闊歩が現実なワタクシ。。 いつの日にかの夢に描きます~ ふふ
|
ファン申請 |
||